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特定非営利活動法人パブリック・アウトリーチ は、社会のより多くの人々に対して、膨大な科学技術情報を社会が真に理解される形でわかりやすく伝達し、双方向のコミュニケーションにより科学技術を身近で等身大なものとして感じてもらうことを目的としています。
▶ パブリック・アウトリーチとは
近年科学技術は非常に複雑になり、それぞれの分野の専門性が深まると同時に、必ずしも科学的な将来予測ができない技術が増えています。 一方エネルギー技術などは環境やコストなど多くの因子と相関を持つため、どのような技術が社会的合理性を持つのかを考える必要があります。「あふれる情報の中から人々の関心やニーズにあったもの、また必要と思われる情報をわかりやすい形で提供する」「情報を一方的に流しっぱなしにするのではなく、それに対する意見や疑問を伺いながら、さらに情報を提供する」「みんなで一緒に考える機会を作り、輿論を起こす一助とする」・・・この丁寧な繰り返しを行っていく活動を、私たちは「パブリック・アウトリーチ」と呼びます。
パブリックアクセプタンス(社会受容)やコンセンサス会議といった言葉は、以前ほど耳にしなくなってきました。 一方、もともと欧米において博物館の宣伝活動等として広まったアウトリーチについても、少しずつ意味が広がってきています。 20世紀後半には、一般市民を対象としたアウトリーチや直接の利害関係を持つ市民(プラント立地地域住民他)を対象に活発化した活動以外に、政策決定者、有識者、ニュースキャスターなど 影響力の大きな発言者を対象としたアウトリーチなどバラエティに富んだ活動が増えてきました。 また、説明会・討論会という直接的コミュニケーションに加え、ITインフラの発達に伴ってWEBが活用されるなど、その活動の幅も広がりました。
パブリック・アウトリーチが対象とするものはさまざまです。たとえば「神秘の科学」とも言える宇宙・深海底の話は、リスクを伴わず、多くの人の好奇心を刺激するため、アウトリーチをビジネスとする起業家もいます。地震のハザードマップなど人為的な力の及ばないリスク情報も多くの人々に伝えたいところです。また、遺伝子組み換え食品など、科学技術の産物については、科学的には必ずしもゼロリスクと断言できないものの、個人レベルで取捨選択できるものもあります。ここでは双方向のコミュニケーション、つまり国・事業者と国民とが情報を共有しつつ、技術の選択をすることが大切になります。
個人レベルでの技術選択はできなくとも、常に高いレベルの安全性が求められ、情報公開が基本とされる原子力分野等では、既に一部パブリック・アウトリーチが導入されてはいますが、 双方向コニュニケーションによる情報の共有が欠かせません。更にCCSなど開発途上でまだ本格的な導入に至っていない技術については、パブリック・アウトリーチにより、開発費投入の是非から技術導入の是非まで、広いオプションを持った議論が必要です。
多様な技術の複合化が進み、多くの技術的側面を持つような科学技術は、情報を伝えること・発信された情報を噛み砕くこと自体が容易ではありません。 NPO法人パブリック・アウトリーチでは、現代における科学技術に対する様々な情報を 各専門分野のスペシャリストが様々な方法でわかりやすく皆様に伝えて行くことを目指しています。
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