倫理と道徳とモラル





「倫理」と似た言葉に「道徳」や「モラル」「規範」などがある。
言葉から受ける印象は人によって若干異なるとは思うが、 だいたい図のように整理されよう。 「修身」というと戦前の教育が思い出され、 「価値観の押し付け」「型にはめる」など悪い印象を受ける。 「モラル」のほうはもう少し「自然に備わるもの」という印象がある。 「道徳」は両者の中間といえるかもしれない。
我々は普通倫理的に行動している。 何が倫理的かは状況に応じてまちまちなので、 倫理的に行動するための絶対的なマニュアルは存在しない。 しかし漠然としたルールは誰しも心の中に持っている。 ここでいうルールとは必ずしも他人から押し付けられるものではない。
このルールには、きちんと言葉で説明できるもの、すなわち「規範」として 書き表せるものと、もっと漠然としていて書き表しにくいものとがある。 「規範」として書き表しにくいものも含めて我々は「モラル」と呼んでいるようである。
「倫理」というと 高校の社会科の「倫理学」 を思い出す者が多いだろう。 「倫理」を学問の対象として扱う「倫理学」と 行為者の「規範」である「倫理」は当然意味が異なる。 しかし日本語の「倫理」は「倫理学」に引っ張られ、 やや研究者の視点寄りになっている気がする。
このホームページは 倫理を研究者としてではなく行為者として考えるためのものであるが、 倫理学とはどういう学問か知らないと落ち着かない人もいるだろう。 そのような人は このページをみてください。
英語には"moral"と"ethics"という2つの単語がある。 自然と身に付くもの、したがってやや漠然としたものが"moral"、規範として 成文化できるものが"ethics"のようである。
「モラル」という言葉はもちろん外来語であるが、既に日本語として定着している。 それを踏まえると、"moral"に対応する日本語は「モラル」とするのが 良さそうである。 一方、"ethics"に対応する日本語は「倫理」ないし「道徳」とすべきであろう。 現状では「倫理」も「道徳」もやや色の付いた言葉となっているようであるが、 今後日本でも倫理の問題をきちんと議論していく中で、言葉の意味も確立していく であろう。

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