「エネルギーの将来について、確たる知識に基づき、価値観を越えて合意をつくる」プロジェクト は、エネルギーの将来を担う世代である「学生」を対象として、エネルギーに関する知識を獲得し、各自の意見を明確化したうえで、各自の価値観の相違を尊重しながら、参加者間の「合意」を目指して話し合うことを目的としたプロジェクトです。
 本事業は、経済産業省資源エネルギー庁の支援を受けて実施しています(事務局:(一財)日本立地センター)。


▶▶▶ 企画の目的・意義


 近年の草の根の取り組みは、そのほとんどが「各自の意見」を大切に持つことを目的としており、これはこれで重要である。しかし、昨今の社会的状況に鑑みれば、今後、如何にエネルギーの将来について国民的議論による合意を形成していくのかについての解を求められていくことは明らかであろう。そのための取り組みの一端は、たとえば討論型世論調査などにも見られたが、現在のところ、その解はまったく見えていないといってよい。
 そこで、本活動では、エネルギーの将来を担う世代である「学生」を対象として、エネルギーに関する知識を獲得し、各自の意見を明確化したうえで、各自の価値観の相違を尊重しながら、参加者間の「合意」を目指して話し合う。(もし、参加者間で合意に結びつかなくとも、「合意」を目指すためには、さらに如何なる情報が必要になるのかを明らかにする。本活動は1ヵ年で終了できるものではないと考えている。)この活動によって、エネルギーの将来について、国民的議論に基づく責任のある選択を行っていくための基盤や条件を見出すことを目的とする。
 また、本活動においては、詳細な記録を作成し、ホームページを基本としたメディアによって公開することによって、エネルギーの将来に関する合意形成の取り組みについて、ひとつのケースを示すことができる。さらには、活動によって得られた知見を再利用可能な形で整理することによって、社会への展開を図る。


▶▶▶ 企画の内容


〔参加者〕
 活動への参加者は、都内大学生(大学院生も含む)を対象とする。その際、男女別、文理別について考慮して参加者を選択する。ただし、「合意」を形成していくことの困難さ、また、本活動が実験段階であることを考慮して、参加者の人数は少人数(6人程度)を考えている。

〔実施内容〕
 全6回のワークショップを実施する。各回は2時間程度。ペースは月に1回程度。
 それぞれの概要は以下のように計画している。

#1 オープニング、ワークショップ「エネルギーの将来について考えるには」(▶▶2016年8月16日開催)
#2 講義1「電源別発電コスト評価の概要と主要な論点」(▶▶2016年9月19日開催)
#3 講義2「エネルギー安定供給(Energy Security)について」(▶▶2016年10月17日開催)
#4 講義3「安全性(Safety)について」(▶▶2016年10月31日開催)
#5 講義4「環境適合性(Environment)について」(▶▶2016年11月28日開催)
#6 ワークショップ「エネルギーの将来はどうあるべきか」(▶▶2016年12月12日開催)
#7 ワークショップ「エネルギーの将来はどうあるべきか(2)」(▶▶2017年1月14日開催)

〔効果測定〕
 エネルギーに関する意識についての効果測定は、アンケートによる定量的評価と、ワークショップでの発言や記録に基づく定性的評価とを行う。
 まず、エネルギーに関する意識アンケートは、詳細版および簡易版のものを用意する。詳細版は、エネルギー全般に関しての参加者の意識を網羅的に問うアンケートである。これは、本活動全体の最初(#1の前)と最後(#6の後)に行う。簡易版は、その中でも重要度の高い項目だけを抜き出したアンケートである。これは、#1~#5の終了時に行う。これらの分析によって、参加者が、本活動全体、および、各回の会合によって、どのような意見の変化があったのか(もしくは、なかったのか)の概要を、定量的に捉えることができる。
 また、これと組み合わせて、ワークショップ中の発話分析を行う。どのようなきっかけで、アンケートで見られたような変化が生まれたのかを、定性的に捉えることができる。
 アンケートや発話の結果は、各回が行われる間に分析し、次回の会合でのファシリテーションにつなげるなど、リアルタイムにフィードバックにも用いる。
 その他、活動そのものについての意見は、各回の終了時にアンケートに聞く項目を用意し、よりよい活動とするようにフィードバックする。

〔記録の公開〕
 全参加者の了解を得た上、各回を録画、録音する。録画、録音は公開しないが、これをテキストベースの記録として作成し、活動の記録をできるかぎりホームページに公開する。具体的には、参加者等の個人名は伏せるが、発言は(読んで理解できるように修正し、また、不適切な発言は削除するなどするが、)基本的は全公開とする。また、話し合いでまとめた模造紙等も適切に整理し、公開する。講義部については、講師に了解を取った上で、記録を公開する。
 このような記録を公開することによって、活動の透明性および公正性を高めると同時に、参加者から本活動に対する信頼性を高める。また、活動の終わりには、活動の記録や分析、知見を含めた報告書を作成し、これも公開する。これらをもって、活動の内容を社会に知らしめ、知見の活用への展開を期待する。


▶▶▶ 実施体制


〔活動責任者〕木村 浩(NPO法人パブリック・アウトリーチ 研究企画部 研究統括)
〔スタッフ〕竹中一真(同研究員)、神崎典子(同理事)、他




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